つなげる・つながる 赤米伝統文化交流協定
赤米伝統文化連絡協議会

総社赤米

総社赤米
岡山県総社市
本庄国司神社・新庄国司神社

本土で唯一赤米神事を脈々と絶やさず伝えてきた総社市は、古来より古代吉備文化の中心として栄えてきた。市名の総社は、平安時代に備中国府の近くに国中の三百二十四社を合祀した「備中国総社宮」に因んでおり、神々に関わる「伝説」が豊富に残る地である。特に市域の中央を流れる高梁川右岸に広がる細長い平野は信仰の対象となってきた磐座が鎮座する山々に囲まれ、式内社四社の他にも多くの神社が残っている。中でも新本地区では県無形文化財の「赤米神饌」が本庄国司(んじょうくにし)神社・新庄国司(しんじょうくにし)神社で脈々と受けつがれてきた。二つの国司神社では、神田で収穫した赤米が御神饌として霜月祭、年始祭で神に捧げられ、直会で赤米料理を神と共に食すことで神と絆を結び、備中神楽を奉納し神を喜ばす。新本では日常生活の随所で神と共に暮らす古来からの農村風景が守り続けられている。

総社市新本には,新庄と本庄地区にそれぞれ国司神社があり,赤米を神前にお供えする神事がそれぞれの神社で行われている。また,国内本土において伝統的な赤米神事が残っているのは総社市新本のみであり,地元住民により大切に守り伝えられてきた。それぞれの国司神社の起源は不詳であるが,新庄国司神社の創立は永禄2年(1559年)であるといわれている。本庄国司神社については創立は天正年間(1573年~1592年)と言われているが,寛永7年(1630年)の棟札が存在することから江戸時代の初期には存在していたことが分かっている。

本庄国司神社

本庄では,本庄国司神社の東側に存在するご神田において現在でも赤米が栽培されている。田植えは6月上旬に本庄国司神社の神事として実施され,11月には稲刈り,籾摺りが行われる。収穫された赤米は神饌として旧暦の11月15日の霜月祭,旧暦の1月6日の年始祭りにお供えされる

田植えの前の神事

神主さんによる田んぼのお清め

田植え

神様へのお祈り

配膳棚:赤米を中心とした食物を神に供える前に置く場所

吉凶を占う湯立ての神事

本庄国司神社の赤米の神田

新本小学校5年生と稲刈り

集合写真

新庄国司神社

新庄地区では,神前にお供えする赤米を栽培する神田が存在したが,現在は宮当番の家の田で栽培している。神事では旧暦の11月15日の霜月祭のみが行われ,御供と呼ばれる赤米の御飯を押し抜きにしたお供えが神前で振舞われる。神事の最後には紅白二つの鏡餅をそれぞれ括り付けたフクラシの木を二人が一本ずつ担ぎ御神田跡の姥御前まで競争する「駆けり餅」とよばれる神事が行われる。

神様へのお祈り

お祭りに来た人たちが食べる赤米

駆けり餅:新庄国司神社でのみ行われている神事

駆けり餅の神事は,姥御前まで行って神社に帰ってくる

帰ってきた駆けり餅